HIGHLIGHT 2022

01 CO2を資源とする
エンジニアリングプラスチック
カーボンネガティブをも可能にする革新的なソリューション

SDGs 12SDGs 13

これまで、化石資源由来の原料から作られてきたエンジニアリングプラスチック。
その原料をサステナブルなものへ切り替えていくことは、2050年までのカーボンニュートラルや、その先のカーボンネガティブを実現するための新たなソリューションとなります。
ここでは、ポリプラスチックスが開発している革新的なソリューションの一つをご紹介します。

サステナブル化に適したエンプラ、POM

ポリプラスチックスの主力製品であるPOMは、サステナブル原料化に非常に適した樹脂といえます。メタノールは、バイオマス材料の発酵によって生み出すことができるため、バイオメタノールが普及しています。当社もまた、バイオメタノールを活用したDURACON® bG-POMの製造販売を開始しました。さらに、メタノールは化学式で表すとCH3OHであり、二酸化炭素(CO2)や一酸化炭素(CO)と水素(H2)があれば作ることが可能です。
この性質を活かした革新的なPOMの開発にも取り組み始めています。

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CO2を資源としてPOMを生み出すカーボンリサイクルに挑む

新たに開発を進めているのは、ダイセルグループ内の製造工程から回収したCO2とH2で作るPOMで、CO2を再度資源として活用する「カーボンリサイクルに資するPOM」です。
このPOMは、製造工程におけるCO2排出量から原料分(リサイクルしている分)のCO2排出量を控除することができるため、より低PCF(プロダクトカーボンフットプリント)な製品となります。

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また、大気中に排出するCO2を減らすことにもなるため、気候変動対策としても効果的です。
この「カーボンリサイクルに資するPOM」は、2027年度を目処に製造販売を開始する予定です。

カーボンネガティブな製品の実現

従来廃棄物として大気中に排出し続けていたCO2を資源とするカーボンリサイクル技術。これにより、将来的には製造工程だけでなく大気中のCO2を原料としたメタノールの実現も見えてきます。当社はこうしたメタノールを用いることで、PCFゼロ未満のカーボンネガティブな製品の実現にも取り組んでいきます。
併せて、製造工程の省エネや再生エネルギーの使用によるCO2排出量削減にも取り組み、PCFのさらなる低減を目指していきます。

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より少ないエネルギーでメタノールを生み出すために

CO2からメタノールを作る際、一旦COへ還元させる必要がありますが、この工程で大きくエネルギーを消費します。したがって、よりカーボンネガティブな製品を作るためには、この還元の際に少ないエネルギーで効率的に還元反応を起こすことができる触媒技術が必要です。
ダイセルが有するナノダイヤモンド触媒技術は、革新的なエネルギー効率のメタノールの実現可能性を秘めており、実用化に向けた研究開発を進めています。

すべてのエンプラをサステナブルな原料へ切り替えていく

ダイセルグループでは、「バイオマス原料」「リサイクル」「大気中のCO2利用」「廃棄物の再利用」の4つをサステナブル原料として定義しています。ここで紹介したカーボンリサイクル原料は、「リサイクル」「大気中のCO2利用」「廃棄物の再利用」に大きく貢献しますが、そのほかに当社では以下のようなサステナブル原料化の取り組みも進んでいます。

当社は、今回紹介したPOMだけでなく、当社のすべての製品において化石資源由来の原料からサステナブルな原料へのシフトを進めています。
今後もグループ一体となって取り組みを強力に推進し、カーボンニュートラルの達成とその先のカーボンネガティブな社会の実現に向けた革新的なソリューションを提供していきます。