当社はエンプラの専業メーカーとして、お客様の製品の構想段階から量産までのあらゆる場面で、材料開発支援、加工支援、性能評価 などの技術支援を行ってきました。その知見を活かし、お客様の製品開発の各段階で生じるCO2 、廃棄物の削減を実現するためのさま ざまな環境技術支援を提供しています。
成形中の収縮によって成形品の内部に発生する気泡は「ボイド」と呼ばれ、成形不良の原因となり製品開発時における廃棄物の増加につながります。従来は、射出成形機から金型内に射出された樹脂の充填の様子を解析する流動解析を基に予測解析が行われていましたが、精度面で課題が多くお客様からはより高い精度の解析技術を望む声が寄せられていました。今回当社では、流動解析と構造解析を組み合わせることで、樹脂が固化する過程での収縮率や弾性率、圧力の分布を基に、成形品内部に発生するひずみからボイドの発生を予測する全く新しい手法を開発しました。
金型で成形起工を行う前に高い精度でボイドの発生予測ができるため、不良品の発生をなくし廃棄物の削減に貢献します。将来的には非強化系のPOMにとどまらず、強化系樹脂やPBT、PPSといった他の樹脂においても技術開発を進めていきます。
成形中に発生するガスは成形不良品を生む要因であり、ひいては製品廃棄物、生産に要するエネルギーロスの大きな原因となります。これまでは、発生したガスを金型や成形機側から逃がす発想でのアプローチが多く、具体的な解決策はほとんどありませんでした。当社は成形時のガスによるトラブルの原因究明を行うため、成形時の発生ガスを評価する新しい評価法を開発しました。お客様の製造条件で精度の高い評価を行うために、お客様の成形機から直接ガスを収集し分析評価を行うことや、当社で評価に最適な条件をつくり、お客様の製造工程を反映した分析評価を行うことも可能です。こうした評価結果を基に、成形条件や金型のゲートの形状設計などの観点から、成形時のガス発生とガスによる製品不良を減らすための具体的な提案をお客様に行います。
このように、これらの予測解析技術や評価法は、お客様の製品開発工程の廃棄物を削減することはもちろんですが、開発サイクルの短縮や、シミュレーション、生産時に要するエネルギー使用量の削減も可能にします。こうした技術支援を通して、環境負荷低減に向けたお客様の製品開発にさまざまな選択肢を提案していきます。
お客様を24時間365日サポートするため、無料の会員制オンラインテクニカルサポート「WEB@TSC®」を開設しています。詳細な物性情報などのさまざまな技術情報を提供するほか、製品に関するお問い合わせ、安全や輸出に関する各種証明書発行などにも丁寧に対応しています。WEB上でどなたでも気軽に受けられる本サービスは、お客様からご好評をいただいています。
当社のサポートに対し、お客様から賞をいただきました。
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日本実験力学会が主催する国際会議において、樹脂の物性評価技術に関する研究で、当社従業員が栄誉ある賞を受賞しました。これは、前年度プラスチック成形加工学会で表彰を受けた研究内容をさらに発展させたもので、評価が困難とされてきた繊維強化系のPPS樹脂においても高い精度で物性評価ができるようになった点が高く評価されました。