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Top Message

サステナブルな社会への シフトが加速

2022年度は、新型コロナウイルス感染症の影響による中国でのロックダウンや半導体不足による自動車の大幅な減産がありました。また、緊迫したウクライナ情勢はいまだに収束することなく、原燃料価格は上昇し、世界的なインフレの進行、物流の混乱、為替の大幅な変動など、世界は先行き不透明な状況のうちに推移しました。
ただこのような世界情勢の中でも、当社を取り巻くマーケット環境を見てみると、5G導入によるネットワーク化の促進が加速するとともに、自動車の電動化さらには次世代自動車(CASE)を見据えた製品の開発競争といった次世代テクノロジーへのシフトが着実に進んでいます。その一方で、各国の環境政策や規制も一段と進み、環境負荷低減に向けた企業の取り組みも加速度的に進行しています。
例えばEUは、その市場で流通しているすべての包装材を、2030年までに完全にリサイクル可能にするための規則案を発表したことに加え、炭素国境調整措置(CBAM)の導入を決めました。K2022 - 国際プラスチック・ゴム産業展国際展示会においても「環境」が主要テーマといっても過言ではありませんでした。このような急速なパラダイムシフトが進み、当社もQuality(品質)、Cost(費用)、Delivery(納期)、Technology(技術)のQCDTにEnvironment(環境)の要素を加えた企業としての取り組み、さらには、人権・労働・安全・コンプライアンス等にも配慮したサステナブルな企業としての取り組みが一層重要になってきています。

エコノミーとエコロジーの 両立を目指す

エンジニアリングプラスチック(以下、エンプラ)は、金属代替の素材として、お客様の製品の小型化・軽量化・長寿命化を通じて、皆様の生活の質を豊かにしてきました。今後も、製品のさらなる小型化や軽量化、高機能性の付与を求めて、金属のエンプラへの切り替えは進んでいくと考えています。自動車の電動化が進めば、車載パーツの電気絶縁性が必要となり、PBTやPPSのような絶縁性に優れるエンプラの使用比率が増えていきます。車載バッテリーは高重量の分、どこかで省電費化のための軽量化を図らなければならず、その結果として金属の代替化は今以上に進みます。「Vehicle to X」のつながる世界では、通信の高度化が進み、誘電率の低いLCPの需要が増えていきます。そのような意味で、エンプラはこれからの豊かな未来社会に必須のものです。

しかし一方で、現状においてエンプラの製造には大量のエネルギーを消費します。産業革命以降、主要なエネルギー源を化石燃料に大きく依存し、CO2を大気中に排出してきた社会は大きな転換局面を迎えているといえます。またプラスチックはこれまでその原料の多くを化石資源に依存しており、資源の枯渇という大きな課題を抱えていますし、無秩序に廃棄されれば環境汚染の対象となり、世界が目指す持続可能な社会という観点からはいくつもの大きな課題を突き付けられています。

ただし、エコノミーとエコロジーは必ずしも矛盾するものではなく、両立するものです。当社は、ダイセルグループとして2050年のカーボンニュートラル、2030年のGHG総排出量2018年比50%削減(当社目標:製品原単位2013年比46%削減)という高い目標を掲げています。また廃棄物を資源と捉え、サーキュラーエコノミーという観点からエンプラにおいても循環型社会への貢献が必須です。このような業界最高水準の高いハードルを越えていくために、新事業を含む革新的ソリューションの提供にも取り組んでいます。

新事業としては2023年にリコンパウンディングビジネスをスタートさせ、回収原料の品質管理を徹底することで、バージン材同様の品質をお客様にご提供していきます。また、ダイセルグループの力を結集して、バイオマス等のエンプラ原料のサステナブル化を図るとともに、ケミカルリサイクル、エネルギー回収、炭素の原料化を組み合わせ、すべてのエンプラを対象に循環型スキームを構築します。このような革新的ソリューションの提供にあたっては、ダイセルグループおよび同業他社の技術力・製品を利用することも必要だと考えています。

これからも、ポリプラファンで あり続けていただくために

当社は、皆様に当社のファンであり続けていただくために「よい会社」であり続けます。どのような会社が「よい会社」であるかは人それぞれ捉え方が違いますが、これから先もエンプラのリーディングカンパニーであるためには、お客様やビジネスパートナーに対しては「エンプラといえば真っ先に当社を相談先として思い浮かべていただく」、従業員に対しては、「当社で誇りをもって働いていただく」ことだと思います。それは、品質、安全、環境、コンプライアンス、働きやすい職場環境などの観点から皆様の期待に応え、さらには期待以上の価値を継続的に提供し続けることです。サステナブルな社会の実現に向けて当社に対して皆様が期待することは高いハードルかもしれません。しかし、エンプラは、未来の社会に必要不可欠な素材です。だからこそ私たちは、未来から課せられる高いハードルを乗り越え、エンプラのリーディングカンパニーとして進化し続けます。

ポリプラスチックス株式会社

代表取締役社長宮本 仰

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